設計部会の世話人の吉田さん、上田さんにはご苦労さまでした。
部長挨拶までに時間がありましたので、新橋の「汐留ミュージアム」に立寄り、「ルオーとフォーブの陶磁器」展を
見てきました。欧米の陶磁器は日本の歴史ある陶芸である、柿右衛門や楽焼き等に影響を受けている事が多いのですが、
今日の陶磁器展では、20世紀のアートを築いてきた作家の個性によって作られた陶磁器として新鮮な感じを受けました。マティス、ドランン、ヴラマンク、ルオーと個性的な画風の絵描きがメティエ工房の素焼きの焼きものに絵付けをするというものでした。その為に、形体としての独自性はなく、絵付けの特徴が現れている事で西洋の絵画と芸術についての考え方が明瞭にうかびあがっていると思いました。
日本の伝統的な絵画では絵画空間の中での余白のもつ意味が重要視されてきましたが、西洋絵画では空間を絵画で埋め尽くす事が特徴です。その特徴が陶芸にも現れていることが大変興味をもちました。
これまで、スコラセミナーで20世紀のモダニズム建築を研究してきた観点から見ると。モダニズム建築とは絵付けされていない無装飾のアートであると感じます。素焼きの建築を作る事が建築家の役割だとすれば、その上に餌付けをする職人(画家、彫刻家、ステンドグラスデザイナー、モザイク職人等)に活動の場を与えるのが建築家の役割ではなかったのか。結果は建築家が空間を独占して彼ら職人に仕事をさせない世界が生まれたのが20世紀モダニズムであった事が実感されます。そして21世紀の建築家は益々空間をゆがめる事に狂奔して、独自性を出そうとします。職人は出番がなくなり、公募展での大作作りでその欲求不満を解消しています。建築家は本来それほど特殊な存在である必要はなく、素焼き作家として、多くの職人に生きる場を提供する仕事ではないかと思いながら帰りました。
そんな感想を持った展覧会でした。
2015.5.26
野崎英彦
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