2009年6月14日日曜日

ウイリアム・メレル・ヴォーリズ展をみて








ウイリアム・メレル・ヴォーリズという建築家が日本全国に多くの建築を残していることを
知る日本人は多くはいないとおもう。しかし、「メンソレータム」という家庭常備薬を知ら
ない日本人はいないであろう。ヴォーリズという建築家は建築を専門としている者でも詳し
く知る人は少ない。今回、新橋の「パナソニック電工汐留ミュージアム」にて「ヴォーリズ
建築100年 恵みの居場所をつくる」という展覧会を観る機会をえた。最終日は6月21
日なのでご覧になっていない方にはお勧めしたい。現在、我々建築設計界のなかでは建築家
の職能としての確立について色々議論もされ、行政の立場からも法整備がなされてきた。
建築家とはいかなる存在かを反省する上でもこの展覧会の意義は大きい。
ヴォーリズは1905年(明治38年)に宣教師として来日し1964年(昭和39年)83才で亡
くなるまで、第二次大戦中にあっても日本にとどまり、宣教師として行動を続けた。
1908年(明治41年)には建築設計事務所を開設した。更に1910年(明治43年)には米国の
メンソレータム創業者の知遇を得て「ヴォーリズ合名会社」(建築設計監理事務所)に法人
化した。
1911年(明治44年)には「近江ミッション」を起こして、伝道活動の基盤をつくった。
1922年(大正11年)にはメンソレータムの販売を認可されて、日本全国に知られることと
なった。伝道活動を支える為の建築設計活動であり、売薬の販売であったことが、全国に
1700箇所という前人未踏の建築の建設となり、メンソレータムの普及となった。この
うな建築家の存在は全世界でも類をみないのではなかろうか。建築家の存在のあり方の可能
の広さを現代の我々に示唆していると思われる。無理の無い建築デザイン、安らぎと幸せ
な思いを感じさてくれる建築デザイン、簡素にして豊かさを感じる建築デザイン等、現代の
建築家が達成していない問題を明らかにしていると感じた。




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