この度の東日本大震災について1ヶ月以上の経過をへてこの間の経過を振り返る気持ちがうまれました。皆様も様々な驚きと失意の中でお過ごしのこととお察し申し上げます。
■2012年(平成23年)3月11日の東日本大震災は第2次大戦終戦間際の広島、長崎への原爆投下に次ぐ歴史的戦争災害を別とすれば、大正12年(1923年)の死者10万5,385人をだした関東大震災から始まって、戦後すぐの昭和21年の南海地震では死者1,443人、昭和23年の福井地震では3,769人の死者がでました。直近の阪神淡路大震災では6,437人が死んでいます。■この度の東日本大震災では現在の段階で死者、行方不明者含めて2万5千人以上となりました。関東大震災以降、千人以上の死者の出た地震災害は9回目となります。戦前22年の間に5回、戦後67年の間に4回、平均すれば10年に1回大地震が起きています。この次に予測されているのは東南海地震、東海沖地震、相模湾内地震、首都直下型地震等がいつ起きてもおかしくないと言われています。細かくあげれば日本全体が地震帯の上にあるといってもよいと思います。今回の大震災の特徴である大地震と共におこった津波による大災害こそ被害の大きさを想像以上のものにする原因となりました。
■更に過去の大地震とは違った二次災害というべきか、人災というべきか福島原発事故という回復不可能とも思える事故に遭遇してしまいました。これまでにも原発事故は海外での事故は1979年のアメリカ、スリーマイル島原発2号炉の炉心溶融事故と1986年のソ連、チェルノブイリ原発4号炉の暴発事故があります。福島原発事故は津波による電源停止、非常用電源の停止、外部電源の回復の遅れにより冷却水システムが停止しました。核燃料の臨界停止にも関わらず温度制御不能となり、核燃料からの水素発生と水素爆発にまで至ってしまった。電源回復ができない為に集中制御室の機能停止のため、原子炉全体の情報を把握できないうちに炉心温度が上昇して、最悪の段階である炉心溶融が始まったと予測される原子炉建屋周辺の放射線レベルの上昇が観測されることとなった。炉心内の燃料棒、使用済み燃料棒の冷却の為に放水という気休め的な処置を始めた。
■火事場で火を消すのとは根本的に違う原発システムを理解していないような処置であった。燃料棒を冷却する為には連続的な冷却水の運転が必要であり、そのためには一刻も早く電源を回復させ、冷却システムを稼働しなければならないはずである。その辺の事態は政府の発表からは霞がかかって明確ではない。チェルノブイリでは膨大な鉛とコンクリートで原子炉を閉じ込めて10日間で放射線の放出を止めた為に、これを石棺とよんでいる。福島原発では炉心格納器を水で満杯にして冷却しようとしているので、水棺と呼ぶようになった。
■炉心冷却により炉心溶融が回避できるとすれば最悪の悪夢は起きないと安堵することができます。一方で炉心格納器や付属している配管に亀裂があれば放射能汚染された冷却水は外部に漏出して海水汚染、土壌汚染、大気汚染となる筈である。市民的な想像力を駆使して推測できるのはここまでである。この後の被害の拡大、被害者の避難措置、安定していると称している原子炉の行方については、唯祈って待つばかりでしょうか。
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